投資先の声

「強くみせなくていい、ありのままでいられるパートナー」——投資家とスタートアップの新たな関係性 #4

株式会社Flamers CEO佐藤航智氏、CPO設楽広太氏、COO柴田展大氏
× Heart Driven Fund ヴァイスプレジデント 熊谷 祐二

株式会社Flamers共同創業者・代表取締役CEO 佐藤航智 氏
1997年生まれ
東京大学工学部3年
スタートアップ複数社でエンジニアインターンを2年間経験し、2019年に株式会社Flamersを共同創業。
株式会社Flamers共同創業者・取締役CPO 設楽広太 氏
1997年生まれ
東京大学工学部4年
ビジネスインターン・エンジニアインターンを1年半経験した後、自分事で小さな革命を起こすプロダクトを創りたいと思いFlamersを共同創業。
株式会社Flamers共同創業者・取締役COO 柴田展大 氏
1996年生まれ
北海道大学水産学部3年
toC営業やキャピタリストのインターンを経て2019年に株式会社Flamersを共同創業。

現役大学生Flamersへの投資を決めた経緯

佐藤:
最初の出会いは、2019年の10月に開催されたHeart Driven Fundのイベントです。2019年8月頭に3人での起業を決意し、ちょうど資金調達を考えていたタイミングでした。メンバーの1人の展大(柴田展大)が、Facebookを通してHeart Driven Fundのイベントが開催されることを知って、勉強を兼ねて参加したんです。

熊谷:
その時のイベントは、40人くらい参加してくれたので、一応名刺交換をしたくらいだよね。後日、面談の申し込みを受けて、航智(佐藤)と2人で会って、その場で、ポジティブな雰囲気と、若さや勢いみたいなものを感じたことを覚えてる。航智(佐藤)は、東大という学歴だけでなく、学内のサークルや企業のインターンシップなど、様々な活動をしていたと聞いて、今後、伸びていくだろう、大きな可能性を秘めているんだろう、と思った。だからこそ、僕が最初の面談で言ったことは「こんなことをやるために起業するの?」という言葉。“どうせやるならば大きいことをやりなよ”と。

佐藤:
そうでしたね。最初は、大学を休学して長期インターンをしている人向けのサービスを考案していて。でも、ユーザーインタビューをしたところ、この課題は休学者に限るものではないことが分かり、ターゲットを変更して、最終的には長期インターンの口コミサービス「Voil」 https://voil-intern.com/ を作ることに決めました。当時熊谷さんとの面談は、投資してほしい気持ちはもちろんありましたが、事業の壁打ちとか、アドバイスが欲しかったのもあります。

熊谷:
「アップデートあったら、連絡してきていいからねー」と伝えて、1週間後くらいに話しにきてくれたよね。会社設立前のプレシード期の投資なので、正直確認したポイントは2つくらい。1個は、自分たちで学習しながら自走できるチームであること。航智(佐藤)達は、2回目の面談時には最初のビジネスプランとは違うものを出してくれて。適切なフィードバックを得て、学んで、改善できる変化率が高いと感じた。だから、ビジネスモデルやマーケットは一切判断に入れず、ピボットの可能性も考慮した上で投資を考えたんだよね。

 

もう1個は、一緒にいて気持ちがいいかどうか。僕らは、プレシードやシード期の投資は、特にハンズオンで関わりたいと思っていて、フィーリングが合わないと、お互いにやっていけない。3人といる時間は気持ちがよかったし、若くてフレッシュで、一緒に遊べそうだ、と感じたんだよね。

佐藤:
嬉しいですね。本当にありがとうございます。僕たちは、何人かの投資家の人とお会いしましたが、熊谷さんは僕たちの人間的な部分について聞いてくれました。「今までの人生何してきたの?」みたいな。他の投資家の方とは、事業計画の話ばかりしていた僕らにとって、人となりを聞いてもらえることは嬉しかったし、楽しかったんです。

熊谷:
3回目に会う時には、95%くらい投資しようと決めてたよ。残るは、「本気でやるの?」とか「俺たちと一緒に本当にやりたい?」みたいな、“ハートで感じていること”の確認だけ。

強くみせなくていい、遊べるような居心地のいい関係

佐藤:
Heart Driven Fundのイベントに参加するまで、僕らはアカツキさんのことは詳しくは知りませんでした。そんな中、熊谷さんと面談で話して、投資してもらいたいと直感的に思ったのは、「熊谷さんに惹かれた」と言っても過言ではないくらい。

 

投資が決まった1週間後くらいに、目黒の焼肉屋さんにご飯に行った時、沢山お互いの身の上話をしましたね。普通なら、自分たちのブランディングを考えて、言わないだろうことも話せたんですよ。他の投資家の方には「こんなすごいんですよ!ぼくら」って強く見せなきゃと思ってたけど、熊谷さんはありのままの僕たちに価値を感じてくださっているみたいで、ありのままの自分たちを伝えると、笑ってくださって。今までそういう大人の方々と出会ってこなかったから、正直とても驚きました。

柴田:
投資が着金していないなかで、本来なら控えたい話まで、オープンに伝えていましたね。初めてご飯に行ったのに、本音で話したことを、受けとめてもらえた感じがありました。

設楽:
熊谷さん自身も、色々話してくださいましたね。恋愛の話や、結婚観。僕らに関しては、良い面だけを見て評価するんじゃなくて、弱いところも含めて、人としての全体感をみてくれた、というか。安心感が全然違いますよ。

熊谷:
今の話、すごい嬉しい。僕自身そうありたいなって思っているし、僕にとってそんな存在は、ゲンちゃん(塩田元規)なんだよね。彼といる時間は、心理的安全性がすごく高くて、全部をさらけ出したほうが得だなって思わせてくれる。それに僕は、起業家の方々といる時間を「仕事」と捉えてなくて、「一緒に遊べるといいな」くらいに捉えていて。僕だって誰に対しても、恋愛の話とかをするわけではないから、あの場は、3人の雰囲気が居心地が良くて、僕自身友達みたいに自然体な感じでいられたんだと思う。

チームのバランスの良さ——キャラクターとスキルセットが違う3人

熊谷:
Flamersは、高いレベルでチームのバランスが良いよね。3人それぞれキャラクターが全然違う。航智(佐藤)は、色んな人巻き込んで、ワイワイ楽しく進める。展大(柴田)は、どちらかというとロジカルで、しっかり考えてアウトプットを出す。だーら(設楽)は慎重で、その分不安を払拭するために頑張る。3人の性質が全然違うので、バランスが良い。

 

佐藤:
チームのことを褒められるのが、一番うれしいですね。正直「東大生だから」と褒めてくださる方もいて、もちろん嬉しいんですけど、そこがメインになりたくなくて。肩書ではなく、内部のキャラクターを見てもらえるのはすごくうれしい。

熊谷:
3人は、スキル面でもバランスが良いよね。航智(佐藤)とだーら(設楽)はエンジニア職で、プロダクトを作る。展大(柴田)は、ビジネスプラン作ったり、役所とのやり取り含め、ビジネス系全般を担当する。それに、社長の航智(佐藤)のワントップで進むのではなく、分け隔てなく3人で意見を言い合って進めている。1996年・1997年に生まれた同世代で、やりやすさもあるんだろうな。3人で創業して、しかもバランスよく取締役として入ることは珍しい。

佐藤:
僕が起業をするうえで2人を誘ったのは、「自分と違う人間とやりたい」という考えがあったから。ジグソーパズルの丸い部分と、へこんでいる部分がカチッと合わさるのが理想なんです。自分と全く同じ人間がいたところで、新しいものが生まれる気がしないから、違うほうがいいと思ったんですよ。

投資家は、参考書。一回り年齢が違うから「常識」は違う可能性がある

熊谷:
基本は、週に1回1時間定例で、経営の大きな戦略から細かいプロダクトのUIの話まで、話してるよね。長時間ミーティングしたい時には別途設定したり、たまにランチやディナーに行って雑談したり。割とプライベートに近いような関係で話してる。

 

僕は10社くらい色んな投資先を見ているけど、Flamersは、巻き込み方が圧倒的にうまい。たとえば、あんまりアジェンダがない場合、定例の打ち合わせをスキップしようとする投資先もあるけど、3人は必ず何かしらの議題を持ってきたり、「何もないから1on1させてください」と切り替えてくるよね。少しでも可能性があるものをしっかり使い倒してやろう、みたいな気概がすごい。

佐藤:
僕らはミーティング中に、違う方向に進んじゃうこともあるけど、熊谷さんはいい意味で見守ってくれてることが多くて。「決めるの君たちだからね」と何回も言ってくれますし、意思決定を握らせてくれる、僕らが主体でいるんだ、と感じさせてくれます。

 

印象的なのは、役員報酬の値段を決めた時のこと。もともと僕らは役員報酬を1人20万くらいに考えていて、2週間くらい話し合って「10万まで下げます!」と伝えたときに初めて「俺もそれが良いかなって思っていたよ。でも、自分たちで話して決めてもらえればいいって思って」と伝えてくれましたね。僕らに与える影響を考えて、決定を委ねてくれたことに感動しました。

熊谷:
正直、意識して関わっている部分はあるよ。立場上、投資家の方が決定権が強くなりやすい。ましてFlamersの場合、社会人経験がないし、プロダクトを創ることも初めてだから、なおさら僕の影響を受けやすいと思っていて。

 

僕自身、起業家だったときに、投資家の人から言われたことを鵜呑みにして、最終的に後悔した経験があった。だから「こういうアイデアはあるけど、あくまで自分たちで決めたほうが良いよ」と伝えたいし、伝えると正解っぽくなっちゃうときは、場合によってはあえて言わない。

 

正直、変な方向に進んでしまうことがあってもいいと思っていて。なぜなら、役員報酬を高めに設定して、1年後にその選択が間違いだったと気づいたなら、それは3人にとってプラスだから。基本的に、僕らと何年か一緒にやった起業家は巣立っていくのがベストだと思っているから、自分たちで強くなってほしい。参考書があるくらいに思ってもらえたらと。

設楽:
ありがたいですね。他の大人の方々と関わるときに、学生だからと、上から目線で「分かってないな、お前ら」みたいに否定されることもあるんです。でも熊谷さんは、常に尊重してくださって。

柴田:
そうですね。評価者という感じではなく、あくまで同じ土俵にいて、一緒に考えてくれるというか。別のレイヤーから見下ろされてる感じはしないんです。何か意見を伝えてくださるときは、べき論もなく、提案というスタンスで、僕らの意見に傾聴してくれていて。

熊谷:
僕のイメージだけど、高校3年生と高校1年生みたいな感じなんだよね。まだまだ自分たちも頑張るし、背中で見せる。野球部なら、素振りを教えてあげることもあるけど、一緒に走ってるみたいな。

 

それに、僕が常に正しいなんて保証はどこにもない。ひとつの事例だけど、以前、Flamersがはじめてサービスを出して広告出稿したとき、何万円使っても、すぐにユーザーが離脱することが続いたことがあったよね。僕が「問題点を洗い出してみたら」と伝えたら、展大(柴田)が「もうちょっとだけやらせてください!」と言って、広告の出稿条件を少し変えて。すると、沢山のユーザーが入ってきて、そのうち多くの人が登録までしてくれた。僕が、そんな風にはならないだろうと思ったことが、実際に起こる時代なんだよね。だから3人には、常に自分たちの正しいと思うことをやってほしいなと思ってる。

“think big”に大きなものを作っていこう

熊谷:
この半年、プロダクトを作って、人を巻き込んで、マーケティングをして、軌道修正して、着実に成長していると思う。ただ、日々キャッシュは減っていくし、周りの目が気になるし、足踏みすることはあるかもしれない。でも、「俺らここ登るぞ」という高い山を見定めて、全力で走ってほしい。その山を間違えなければ、着実に上っていけるチームだと思うから。だからこそ、think bigな目線感が大切。せっかく今のフレッシュな時間を使うので、自分たちにとって大きいことに使おう。

佐藤:
ありがとうございます。僕は、中学3年生の時に『リッチマン、プアウーマン』というドラマをみて起業を志しました。それまで起業家という存在自体を知らなかったので、小栗旬さんが演じる起業家を見て「かっこいいな」と思ったんです。それ以降ずっと起業したいと思ってきました。

 

僕の思いは、ワクワクしてる人を増やすこと。僕自身、小学校の時から「なんで生きてるんだろう」と考えてきて、結局人生は、幸せになるために生きている、と思っています。どういう世界が一番幸せかを考えると、みんながワクワクしている世界なんです。そのために、やりたいことがどんどん生まれていくような文化を作りたい。長期インターンはそのための1個目の手段です。今後は、上のレイヤーだと大人に対して、下のレイヤーだと教育事業など、もっと大きな市場に挑戦していけたらいいなと思っています。

熊谷:
アカツキに対して恩返ししたいとか思ってくれたりもするかもしれないけど、僕らのことは気にせず、世間の常識にも引っ張られすぎず、自分たちがやりたい世界、作りたいものを作ってほしい。スタートアップっぽい常識なんて、ある意味本当かどうかは分からない。若い世代だから、これから自分たちが新しい社会を作っていく、アップデートしていく気持ちで進めてもらえればと思ってる。5年でも、10年かけてでもいいから、短期的になりすぎないで、大きなものを作っていって欲しいな。

柴田:
ありがとうございます!常識的に考える枠組みから外れて、think bigに、面白いこと、ワクワクすること、スケールのでかいことに挑戦していきたいと思います。

設楽:
描く世界は、ワクワクして楽しく働く人、過ごす人が増える世界。そこに向けて、とにかくプロダクトづくりを頑張ります!

佐藤:
最初のプロダクトはリリースしたので、ここから多くの人の人生に影響を与えるような、文化を作れるモノ作りを描いています。プロローグが終わって、これから第2章が始まるんだなって気持ちで、ワクワクしています。楽しみにしててください。


 

株式会社Flamers
https://www.flamers.jp/

熊谷 祐二 / Heart Driven Fund ヴァイスプレジデント
https://hdf.vc/team/kumagai/

 

文:水玉 綾 写真:大本 賢児 構成:奥井 佳奈

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